11月4日 決算特別委員会

◆委員(井上ノエミ君) 
 教育委員会は、幼児教育、学校教育、社会教育、スポーツと大変幅広い分野を担当しています。
 公立の幼稚園は七つあります。小学校は25校で、教職員が600人、中学校は10校で、教職員は300人います。子どもたちは、園児が約400人、小学生が1万人、中学生が4,000人。合計1万4,400人の子どもたちの教育を担当しています。
 また、社会教育の分野では、七つの図書館と図書室、すみだ生涯学習センター、郷土文化資料館を管理しています。また、スポーツ分野では、総合体育館や両国屋内プール、スポーツプラザ梅若などの施設や野球場やテニスコートがあります。
 学校の職員だけでも900人ですから、墨田区の職員の半数がいます。
 これらの数字を見ても、教育委員会が大変大きな組織であることがよく分かります。
 これまで、さまざまな教育委員会の問題点が議会で指摘されてきました。その理由の一つは、組織自体が大変大きいことにもあると思います。
 今回、地方教育行政法が改正されて、新教育長が任命されますが、今回の改正が教育委員会をどのように変えていくのか、どのような点が改善されていくのか、お伺いします。
◎教育長(横山信雄君) 
 今、ご指摘もありましたように、このたびの大きな制度改正は、大津市で起きたいじめ問題を契機に、教育委員会の審議の形骸化やいじめ問題等に対して迅速に対応できない、あるいは責任の所在が明確でないことなどの指摘を受けまして、なされたものです。
 幾つか改正点がありますけれども、その改正の大きなポイントの一つは、これまでの非常勤の教育委員長と常勤の教育長を一本化して、区長が直接任命する新教育長を置くということにあると思います。これは、教育行政における責任体制の明確化を図るとともに、緊急事態等が起きたときの危機管理体制の構築等を図ることが主な眼目かなと思います。
 大きな2点目は、新教育長、教育委員と区長で構成する総合教育会議の設置があると思います。これは、区民から選挙で選ばれる区長が教育行政に果たす責任と役割を明確化するとともに、公の場で区長と教育委員会が協議・調整を図ることで、両者が教育行政への政策の方向性が一致するような努力をすると。こうしたことで、区民から教育行政についての見える化が図られるかなと思います。そしてその上で、審議の活性化、あるいは、より透明で開かれた教育行政がこれから推進されていくものと考えています。

◆委員(井上ノエミ君) 
 大変大きな組織ですから、そのマネジメントは大変だと思います。
 しかし、墨田区にとっては、教育は大変大事な分野です。例えば今、墨田区は人口が増えています。マンションがたくさんできて、住民が増えています。そのために、税収も増えています。よい学校があれば、子どもの教育に関心のある、所得の多い住民が引っ越してきます。教育をよくすれば、墨田区の税収が大きく増える可能性があるわけです。
 したがって、墨田区の将来にとっても、教育委員会の役割は大変大事だと思います。しかし、教育委員会の体制が弱いように思います。
 例えば、専門性を持った、十分な数の職員が確保されていないように思います。したがって、教育委員会の体制も併せて強化する必要があると思いますが、どのように考えていますか。
◎教育委員会事務局次長(石井秀和君) 
 教育委員会の強化についてでございますが、2点あるかと思います。
 1点目は事務局の強化でございます。先ほど、教育長からも答弁がありましたとおり、教育委員会制度も変わるということで、教育委員会自体の活性化のためには、この事務局機能を強化するということが必要だと思っております。これにつきましては、区長部局とも十分相談しながら、強化に努めてまいりたいと考えております。
 もう一つは、専門性についてでございます。専門性ということでは、教育委員会事務局には、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」におきまして「その他の職員を置く」ということで、法律上は指導主事をメインに据えているところでございます。
 この指導主事につきましては、「学校教育に関して、専門的事項について教養と経験がある者」、それから「学校における教育課程、学習指導、その他の学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者」「大学以外の公立学校の教員をもって充てることができる」ということで、基本的には教員を充てるということでございます。
 現状では、区が単独で増員しましたすみだ教育研究所の指導主事を含めまして、指導主事の体制は6名でございます。配置の人員につきましては、区市町村の学校規模によって都が定めているところでございます。
 教育課題は山積しているところでございますが、当面は、指導主事のスキルの向上や効率化等を図りまして、現行体制で教育指導事務を進めてまいりたいと考えております。
 なお、将来、認定こども園の数が大幅に増えるような場合などは、教育課程の事務について、大幅な事務量が見込まれるわけでございますけれども、そういった大幅な環境の変化が生じるといった場合には、適正な事務の執行体制を確保するために、改めて指導主事の人数につきましても検討を行ってまいりたいと考えております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、193ページの郷土文化資料館費についてお伺いします。
 この資料館ですが、確か、行政評価でも2と評価されています。管理運営費に2,100万円かかっていますし、人件費も含めて5,000万円近いです。今後の維持管理費などはどのようになるのでしょうか。経費の削減策について伺います。
◎生涯学習課長(前田泰伯君) 
 すみだ郷土文化資料館は、平成10年に設置された博物館でございます。今年度で16年目を迎える施設でございまして、ほかの施設と同様に、経費削減には当然努めているところでございます。受付業務、清掃、また設備の保守など、施設維持に係るものについては委託化を既に行っているところでございます。
 価格の上昇傾向にある光熱水費、また16年目を迎えて経年劣化しております、特に施設の設備関係でございますけれども、それらに係る施設補修費を減らすことは、所管課としては、適正な維持管理上、非常に難しいものであると考えております。これらの経費は、事業の運営上、必要不可欠な経費と考えております。
 そのような状況ではございますけれども、他区の状況や施設状況等も参考に、民間活力の活用について、調査を進めていきたいと考えております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 民間の活力を導入するべきだと思いますので、是非検討してください。
 次に、現在準備されているいじめ防止対策条例についてお伺いします。
 パブリックコメントが行われましたが、ほとんど意見がなかったようです。この条例ができると、これまでのいじめ対策と比べて、実際に何が変わるのでしょうか。いじめが実際に防止されるような効果が出るのでしょうか。
◎庶務課長(岩佐一郎君) 
 この条例につきましてのパブリックコメントは、ご指摘のとおり確かに1件でございました。思いのような形での意見でございましたので、特に条例案に反映させるような内容ではなかったということでございます。
 いじめ対策につきましては、25年1月に発足した有識者会議から出されました九つの提言というものがございまして、それに基づいてこれまでも対策を推進してきております。これに対しまして、次回の定例会に提案を予定しておりますこの条例は、教育委員会だけではなくて、区全体でいじめの防止等に取り組むことを条例で明らかにし、そのための体制や仕組みを整備するということに大きな意義があると考えております。
 具体的には、協議会組織を設置いたしまして、区長、教育委員会、地域、警察等の関係機関が連携して、いじめの防止に取り組む体制を整備するほか、教育委員会及び区長にそれぞれ附属機関を設けまして、学校におけるいじめへの対応にそれぞれの立場から関わっていくこととなります。
 教育委員会といたしましては、この条例を踏まえまして、まずはいじめの未然防止の対策としてDVD教材を各小・中学校に配布してその活用を図るほか、リーフレットなども作成し、保護者等に配布して啓発に努めてまいりたいと考えております。
 また、早期発見の対策といたしましては、いじめを受けたり、そのいじめを見かけた児童・生徒がいつでも気兼ねなく通報・相談できるような窓口の体制を充実・強化したいと考えております。また、早期対応及び重大事態への対処の対策といたしましては、各学校に設置いたしますいじめ防止対策組織がございますけれども、そういった組織との連携に基づきまして、教育委員会として附属機関なども活用した効果的な支援を行っていきたいと考えております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 いじめ対策については、スクールカウンセラーが増員されて、対策が強化されています。これらのスクールカウンセラーが本当にいじめ防止に役立っているのか、どのように評価しているのかお伺いします。
 実際に学校でのいじめが減っているのか伺います。また、教育委員会では、いじめ問題は指導室長が担当されていますが、これだけ問題が大きくなっている現状があります。専任の担当者が必要だと思いますが、どのように考えますか。
◎指導室長(月田行俊君) 
 いじめに関するスクールカウンセラーの活用状況についてでございますが、未然防止という点からですと、カウンセラーが直接子どもたちに、例えばこういう言葉を語りかけると相手が傷つくよねとか、こういう言葉が相手をリラックスさせるよねというような指導を直接語りかけたり、あるいはスクールカウンセラーだよりを活用して投げかけたりというようなことで防止を図っております。
 また、いじめにつきましては、どの学級でもどの学校でも起こり得るという認識のもとで対応させていただいておりますので、早期発見という意味では、子どもが直接スクールカウンセラーに相談に行くことによって、早期に発見し、対応が早くなるというようなこともございます。防止だけではなく、早期発見、早期対応のところでも充実しているのではないかなと認識しております。
 実際に24年度と25年度のいじめの件数ですが、7件減少しているという経緯がございます。それから、指導室長だけが学校のいじめに対応しているわけではなくて、先ほど次長が申し上げましたように、指導主事がおりますので、それぞれが学校を担当させていただき、その指導主事が学校との窓口でやり取りさせていただきながら発見し、指導室全体で対応しているところでございます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、小学校の英語教育についてお伺いします。
 先日、小学校で1日、英語のクラスを見る機会がありました。英語を話せない先生が担当するわけですから、アシスタントのネイティブの先生が行っても、なかなか大変だと思います。
 私の友達のイギリス人の英語の先生に相談してみました。今はかなりよいビデオ教材があるので、それをもっと利用したほうがよいという意見でした。
 すみだイングリッシュもよい試みだと思いますが、是非、ビデオ教材の使用についても検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎指導室長(月田行俊君) 
 実際にビデオ教材は非常に有効であると我々も認識しておりまして、実は、そのすみだイングリッシュの中にもDVDがもともとついております。その中には、ネイティブな発音や歌、あるいはゲーム、映像や音声など、さまざまなコンテンツが用意されておりますので、日本の教員がそのDVDを活用しながら、すみだイングリッシュと併用することで効果が上げられると考えております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 すみだイングリッシュですが、イギリス人の友達も、これまでの日本の英語教材に比べてよくできていると言っていました。ただ、一部、おかしい点もあるという意見でした。
 例えば、日本の紹介で、日本地図があって、県の名前を英語で当てるクイズがあります。これは地理の勉強で、英語の学習にはあまり関係ないという意見でした。確かに、あまり日常会話では使わないと思います。